思い出の写真

祖母が亡くなった時、私たちは近親者が亡くなったのは初めてだったので、親戚一同葬儀の準備が大変だったのを覚えている。葬儀そのものの準備は葬儀会社の方が段取り含めて全て親切にお手伝いをしてくれたので滞りなく終わったが、苦労したのが遺影の写真だった。祖母はいつも笑顔で気の優しい人だった。その人柄が出ている写真をみんなで探した。しかし昔の人なので、写真がとても少なく、探すのがとにかく大変だった。その少ない中から何枚かに絞った。祖母の思い出話をしながらみんなで選んでいると、妻を亡くし落ち込んでいた祖父がある一枚の写真を手に取り、「これにして欲しい」と言った。その写真は私が祖父母を連れて日帰り温泉に行った時、二人を写したものだった。二人とも穏やかでいい笑顔をしている。祖母も生前その写真をとても気に入っていた。祖母が天国に行っても、私たちの事をいつも笑顔で見守っていて欲しい、との思いがあったのだろうか。私たちはその写真を遺影にすることに決めた。
その二か月後、元気だった祖父が後を追うように亡くなった。私たちは迷わず祖父の遺影をあの写真に決めた。今は仏壇の前で笑顔の二人の写真が、いつも私たちを見守ってくれている。